ドライアイについて
『ドライアイ』は、眼を保護する涙の量が減ったり、涙の成分のバランスの崩れが原因となって、眼球の表面が乾燥したり、痛みや傷を生じる症例のことをいいます。涙液分泌減少症や乾性角膜結膜炎として診断されることもあります。
ドライアイは、PCやスマホ等の情報機器が普及するにつれて多発する傾向にあり、現代人の誰もがかかりやすい『目の文明病』として認識されています。
ドライアイは、年齢や性別に関係なく発症しますが、ドライアイにかかる人の傾向にはある一定の法則が認められています。一例を挙げると、スマホやゲーム、PCを長時間利用する傾向が強い方、長時間にわたり細かな作業に従事している方、日常的なストレスの多い方、更年期の方、さらに、高齢者では老化や病気などもドライアイの原因となります。アレルギーやアトピーのある方にもドライアイが確認されやすい傾向があります。
ドライアイが日常生活に及ぼす影響
ドライアイは幅広い年齢層で発症します。ドライアイの不快感が集中力や注意力の欠如につながったり、視力低下の原因となることもあります。
ドライアイを放置していると、視力低下や眼の不快感などの症状だけでなく、肩こり、頭痛、腰痛などといった全身症状に発展することもあります。コンタクトレンズを使用している方にもドライアイの症状が現れやすく、乾燥感や不快感を感じるだけでなく、症状の進行によって黒目に傷がついてしまうこともあります。いずれのケースであっても、早期に適切な治療を受けることをおすすめ致します。
ドライアイの一般治療
点眼液を用いた治療
ドライアイの一般的な治療法です。患者様の症状に合わせて、最適な処方を致します。
●人工涙液 |
涙の成分に近い点眼液。 防腐剤不使用のタイプはコンタクトレンズ装用時にも点眼可能。 |
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● ヒアルロン酸配合点眼液 |
ドライアイ治療で最も処方されている点眼液。目にうるおいを与え、ドライアイが原因で角結膜に生じた傷の保護にも効果が認められる。 |
● ムコスタ点眼液 |
目のうるおいを保つムチンに関係の深い細胞を増やす効果があり、涙液を増加させたり、ドライアイが原因で生じた傷を保護する作用がある。衛生的な1回ごとの使い切りタイプで防腐剤不使用。コンタクトレンズ装用時にも点眼可能。 |
● ジクアホソル点眼液 |
目のうるおいを保つムチンの分泌に働きかけ、涙液の増加や質の向上に効果が認められる。 |
涙点プラグ挿入術
シリコン製のプラグで涙の流出口である涙点をふさぎ、涙を眼の表面にたまりやすくさせてドライアイを改善させる治療法です。患者様の涙点のサイズに合うプラグを選び、ペンのような専用の器具で、涙点にワンタッチで挿入します。挿入時は点眼麻酔を用いるので、痛みもほとんどありません。一度挿入したプラグが外れてしまうこともありますが、再挿入が可能です。プラグの必要がなくなれば簡単に除去できます。
注意点としては、涙点は涙だけではなく、眼にたまった老廃物の流出口でもあるため、プラグ挿入中に目ヤニやかゆみを感じることもあります。そのような症状は、抗生物質や抗アレルギーの点眼薬を使用することで改善されるケースが多いです。
新しいドライアイIPL治療のご案内
涙は99%の水(涙層)と1%の脂で成り立っています。ドライアイには「水が足りないタイプ」と「脂が足りないタイプ」の2種類の症例があり、約86%のドライアイは「脂が足りないタイプ」であることが最近の研究で分かってきました。「脂が足りないタイプ」のドライアイの場合、一般的な点眼治療や涙点プラグ治療だけでは、十分な治療効果が得られないケースが多く見られます。
脂が足りなくなる最も大きな原因はマイボーム腺機能不全です。眼の器官の一部であるマイボーム腺には、涙に必要な脂分を分泌する働きがありますが、そのマイボーム腺が汚れや炎症のために詰まってしまうことがあります。この状態がマイボーム腺機能不全です。そうなると、涙に必要な脂分が十分に分泌されず、涙の成分バランスが悪くなります。その結果、眼に十分な潤いを保つことが難しくなり、目の乾きや痛みなどのドライアイ症状に繋がるのです。
そのマイボーム腺の詰まりを、IPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれるマイルドな光を照射することで除去し、炎症を抑え、適切な涙液の流れを整えるための新たな治療法として開発されたのがIPLドライアイ治療です。IPLドライアイ治療は国内外の学会でも大きな注目を集めており、ドライアイ症状の改善を示す良好な臨床データが続々と報告されています。
ルミナス社製 M22 IPLシステム
当院のドライアイIPL治療の流れ
1カウンセリング
● 適応がある場合、治療について詳しくご説明します。
● 患者様に同意を頂けた場合、治療の予約をお取りします。
2治療の準備
● 来院後、メイクや基礎化粧品を全て落として頂きます。
3IPL照射
● 眼球を守る専用のアイマスクをつけ、顔に密着させます。
● 照射部位(下まぶた下部)に専用のジェルを塗ります。
● ほほ→まぶたの下→鼻へかけてIPLを照射します。
● ジェルを拭き取り、眼周辺を洗浄して治療終了です。
ドライアイIPL治療後のご注意
- 治療後は肌に赤みを生じやすくなりますが、通常、2~3時間で落ち着くことが多いです。
- 皮膚がデリケートな方は、まれに浅達性熱傷によるヒリヒリ感や強めの赤みを生じることもあります。
- 治療後2週間、紫外線に当たる時は日焼け止めを塗って下さい。
- 洗顔、メイク、入浴等は通常通り行って頂いて問題ありません。
ドライアイIPL治療のよくあるご質問 ~Q&A~
Q: IPL治療は何回くらい必要ですか?
● 3~4週間おきに4回の治療を行うことが推奨されています。
● 初回の治療から良好な効果を認められた症例や、7~8回目で大幅な改善が得られた症例なども報告されています。
Q: 痛みはありませんか?
● 個人差がありますが、痛みはほぼ感じないと言われる患者様が多いです。
● 痛みがあっても、軽く輪ゴムではじかれる程度と感じられるケースが大半です。
Q: 副作用はありませんか?
● 治療後、照射部分に赤みが出ることはありますが、数時間で落ち着きます。その他の副作用は報告されていません。
● 肌がデリケートな方は、ごく軽い火傷のようなヒリヒリ感や、肌の赤みが強く出ることもあります。
Q: 誰でもIPLドライアイ治療を受けられますか?
● 事前の診察と検査で、適応があると認められた方が対象となります。
● 妊娠・授乳中の方と中学生以下のお子様はお受け頂けません。
Q: なぜ治療前にメイクを落とすのですか?
● 安全かつ効果的にIPLの光をマイボーム腺の深層まで到達させるために、素肌の状態で治療を受けて頂くことが必要だからです。
● 治療終了後には、休憩室で日焼け止めやメイクをしてからお帰り頂けますので、当日はご愛用のお品をご持参下さい。
Q:IPL治療は、美容系の施術ではないのですか?
ドライアイ治療とは異なる波長のIPLを用いて、シミ、しわ、肌のきめの改善を目指す施術が美容皮膚科等で行われています。特に「ルミナス社製 M22 IPLシステム」を用いて行われる上記の施術のことを「フォトフェイシャルⓇ」と呼びます。(他社の機材を使用する場合は「光治療」「IPL治療」などの名称が使われているようです。)
当院でも、M22のIPL照射部を別波長のカートリッジに交換することで、フォトフェイシャルⓇの施術をご提供することが可能です。1回の施術だけでも効果を実感してい頂けることが多いですが、4週間毎に3~5回の施術を行うことが推奨されています。ご希望の患者様は、どうぞお気軽にお問い合わせ下さいませ。
ドライアイIPL治療費用(自費診療)
1回(両眼・税込) | 15,000円 |
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4回セット(両眼・税込) | 45,000円 |
4回セット終了後の追加1回分(両眼・税込) | 10,000円 |
※フォトフェイシャルⓇの治療費用は受付にご確認下さい。